■似ているようで違う、結婚にまつわるお金の文化
日本で結婚の話になると、昔から「結納」という文化があります。
最近では結納をしない家庭も増えていますが、かつては結婚前に男性側の家から女性側の家へ、結納品や結納金を贈ることが一般的でした。
一方、中国にも結婚にまつわるお金の文化があります。
それが「彩礼 cǎilǐ」です。
中国にも結納金のような「彩礼 cǎilǐ」と言うものがあり、結婚の際に男性側から女性側へ贈るお金や贈り物のことを指します。
一見すると、日本の「結納金」と中国の「彩礼 cǎilǐ」はよく似ています。
しかし、実際にはその意味合いや社会的な重みはかなり違います。

■日本の結納金は「家と家の儀式」に近い
日本の結納金は、もともと結婚を正式に約束するための儀式の一部でした。
結婚する本人同士だけでなく、両家の結びつきを確認する意味が強かったのです。
結納金には、
「これから娘さんを大切にします」
「両家のご縁を正式なものにしましょう」
という意味が込められていました。
ただ、現代の日本では、結納そのものを省略する家庭も多くなっています。
結納金を用意する代わりに、顔合わせ食事会だけで済ませるケースもありますし、結婚式や新生活の費用に回す家庭もあります。
つまり日本では、結納金は今でも存在する文化ではありますが、かなり柔軟になっていると言えるでしょう。

■中国の彩礼(cǎilǐ)は「男性側の誠意」を示すもの
一方、中国の「彩礼 cǎilǐ」は、今でも地域によっては非常に重要な意味を持っています。
「彩礼 cǎilǐ」は単なるお祝い金ではなく、男性側の経済力や誠意を示すものと考えられることがあります。
中国では結婚において、
「男性がどれだけ責任を持てるのか」
「女性を大切にする覚悟があるのか」
「新しい家庭を支える力があるのか」
という点が重視されます。
そのため、「彩礼 cǎilǐ」は男性側の本気度を示すものとして受け止められることがあります。
もちろん、中国全土で同じではありません。
都市部では「彩礼 cǎilǐ」を重視しない家庭もありますし、金額よりも本人同士の相性や生活力を大切にする家庭もあります。

■大きな違いは「誰のためのお金か」
日本の結納金と中国の「彩礼 cǎilǐ」の大きな違いは、
「そのお金が何のために使われるのか」
という点にもあります。
日本の結納金は、形式上は女性側の家に贈られるものですが、実際には結婚準備や新生活のために使われることもあります。
一方、中国の「彩礼 cǎilǐ」も女性側の家に渡されますが、その扱いは家庭によってかなり違います。
女性側の親が受け取る場合もあれば、最終的に娘夫妻の新生活資金として返す家庭もあります。
つまり、中国の「彩礼 cǎilǐ」は単純に
「男性側が女性側にお金を取られる」
という話ではありません。
そこには、地域の習慣、親の考え方、家族の経済状況、娘への愛情などが複雑に絡んでいます。

■「中国の”彩礼 cǎilǐ”は高すぎる」は本当か?
近年、中国の一部の地域では「彩礼 cǎilǐ」の高騰が問題視されることがあります。
ネット上でも、
「結婚するのに何百万円、何千万円も必要」
「家も車も”彩礼 cǎilǐ”も男性側が用意する」
「これでは若者が結婚できない」
という話を見かけます。
たしかに、そうした地域やケースは存在します。
しかし、それが中国全体の常識かというと、そうではありません。
中国はとても広い国です。
地域によって文化も違えば、家族観も違います。
都市部と農村部でも違いますし、北方と南方でも違います。
「中国では”彩礼 cǎilǐ”が高い」
という一言だけで語ってしまうと、かなり雑な理解になってしまいます。

■私自身が感じた、日本と中国の結婚観の違い
私自身、中国ハルピン出身の妻と結婚する時、結納金に近い形でお金を用意しました。
中国では結婚の際に、男性側が一定のお金を用意する文化があることを知ったからです。
ただ、実際に妻の両親にわたそうとした時、義母からは、
「結婚はこれからお金がかかるから、このお金はあなたたちで使いなさい」
というようなことを言われました。
もちろん、これは一つの家庭の話です。
中国全体がそうだという話ではありません。
でも、この経験を通じて私は思いました。
中国の「彩礼 cǎilǐ」は、単なるお金の話ではない。
その家族が、結婚をどう考えているのか。
男性側の覚悟をどう見ているのか。
そういう価値観が表れるものなのだと。

■日本人が中国文化を理解する時に大切なこと
日本人が中国文化を見る時、ついニュースやSNSの一部の情報だけで判断してしまうことがあります。
「中国では彩礼(cǎilǐ)が高いらしい」
「中国人女性はお金を重視するらしい」
「中国の結婚は大変そう」
そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、実際に中国の人と話してみると、もっと複雑で、もっと人間味があります。
「彩礼 cǎilǐ」を重視する人もいれば、重視しない人もいます。
親の考えを大切にする人もいれば、本人同士の気持ちを一番大切にする人もいます。
日本人にもいろいろな人がいるように、中国人にも本当にいろりろな人がいます。
だからこそ、相手の国の文化を理解するには、実際に話してみることが大切です。

■結婚文化の違いは、相手を知る入口になる
「結納金」と「彩礼 cǎilǐ」。
どちらも結婚にまつわるお金の文化ですが、そこには日本と中国の家族観の違いが表れています。
日本では、形式としての結納は少しづつ減ってきています。
中国では、地域によって「彩礼 cǎilǐ」が今でも大きな意味を持つことがあります。
でも、どちらの文化にも共通しているのは、
「結婚は本人同士だけでなく、家族も関わる大切な出来事である」
という考え方です。
違いを知ることは、相手を否定することではありません。
むしろ、違いを知ることで、相手の考え方や背景をより深く理解できるようになります。

■中国をもっと知りたいなら、まずは人と出会うことから
中国文化を知るには、本を読むことも大切です。
ニュースを見ることも大切です。
でも、それだけでは分からないこともたくさんあります。
実際に中国の人と話してみる。
一緒に料理を作ってみる。
同じテーブルを囲んで、何気ない会話をしてみる。
そうすることで、ニュースやSNSだけでは見えない中国が見えてきます。
「中国人」とひとくくりにするのではなく、
一人ひとりの考え方や価値観に触れること。
それが、本当の意味での異文化理解の第一歩だと思います。
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日本の結納金と中国の「彩礼 cǎilǐ」の違いに興味を持った方は、ぜひ一度、中国の方々と直接話してみてください。
中国を知る一番の近道は、中国の人と出会うことです。
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